おみそ なぜ、その存在が必要だったのか
*「おみそ」を差別用語だと解釈なさる方がいる可能性がありますので、配慮願います。
昔の子供たちの遊びの中には「おみそ」という独自の制度がありました。異年齢集団で遊ぶことも多かった時代、誰かの弟など特に小さな子が遊び仲間に含まれていたので、意欲はほかの誰より高くても技能がまったく未熟なその子を、どうやれば遊びに参加できるようにしてあげられるかを考えたのです。

そのとき、「おまえがこっちのチームに来たら、足を引っ張られる」「打てないんだから、仲間に入れてやんない」などと意地悪することはなく、その子に対してだけの特別ルールを作り、それを適用しました。
たとえば、何回空振りしても三振にならないようにします。それでもなかなかバットに当たらないので、ピッチャーが前のほうに出てきて下投げでふわっ~とした投球をするなど、可能な限り打ちやすい条件を整えてその子が楽しく遊べるように配慮します。
ただし、甘やかすこともしないので「打つ代わりに投げてもいい」ということにはなりません。
この特典が、その子にだけ与えられるということは遊び仲間で共通理解されますが、その内容には誰も文句を言いません。仮に、その子がヒットを打っても、個別の配慮である特別ルールはそのまま継続されて遊びは進んでいきます。
当のその子も、どんな形でも大きい子に混じって遊べるだけで楽しいので、自分に与えられた特典に対する不満を言うことはありません。
その子は、「おみそ」として遊びに参加することによって、遊びそのもののルールを覚えていきますが、自分のワガママがどこまで許されるのか、どういうことをするとみんなが怒って遊んでくれなくなるのか、集団社会のルールも学んでいきます。
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