1067に隠されたヒミツを紐解く
鉄道ファンなら「1067」という数字にすぐさま反応するのでしょう。しかし、多くの人は「1067」を見ても「鎌倉幕府じゃないよな~」などと歴史で習ったかもしれない年号を思い巡らすかもしれません。しかし、陸上競技にちょっと明るい人は、この「1067」には違った反応を示すはずです。
陸上競技に限らず中途半端な数字は、スポーツ界にはよくある話で、例えばサッカーのペナルティーキックは、ゴールラインから10.97mとなっています。これは、サッカーの発祥の地イギリスで使われているyardがもとになっているからです。
メートル法で半端な数字である10.97mですが、じつは12yardのことです。12も中途半端だと思いますが、ゲームをより楽しめるようにこの数字になったのでしょう。ちなみに、硬式テニスのネットの中央の高さ0.914mとこれもまた中途半端ですが、これも、1yardです。
陸上競技でもイギリスの単位が使われています。例えば、男子ハードルの高さは3.5feetです。これは、メートル法で1067mmとなります。1067mmは、ランナーが走り越えなければならない高さです。
ある研究では「脚の長さの1.07倍以上か否かが、跳べるかくぐるかの分かれ目」になることがアフォーダンス理論として知られているので、リズミカルに走り越えようとしている選手の股下の長さは1067÷1.07以上が必要となります。そうすると、計算上99.7cmより長い脚になりますが、これほど長い脚の持ち主は、よほど背が高い人ということになるので、ハードル選手の技能のすごさが分かります。
さて、冒頭の鉄道ファンが気になる「1067」という数字のヒミツは、線路の幅です。日本の多くの線路の幅は、男子ハードルの高さと同じ1067mmなのです。
そういえば、明治維新で入ってきた陸蒸気も、イギリス製でしたね。