マットで身に付けた技能は、将来、何の役に立つの?
Q.大人になってから一度も開脚前転をする機会がありません。開脚前転を学習することは、将来、役に立たないのではないでしょうか?

A.体育の学習内容は、技能だけではありません。開脚前転ができるようになれば運動に対する自信が付きます。
たとえできなくても教え合ったり励まし合ったりする態度や安全に対する配慮も学びます。友達と協力し合ったり友達ができたことを喜び合ったりすることで豊かな心も育ちます。技のコツをつかんだり、自分ができそうな技を選んだり、できるようになるための課題をもって練習したりする思考・判断・表現の力も伸びていきます。
開脚前転ができることだけに価値があるのではなく、できるようになるために主体的に取り組むことそのものにも学ぶ価値があるのです。
ただし、できるようにならない状況がいつまでも続くと意欲が減退して嫌いになっていくので、自分に合った技を選び直したりできる技の連続や組み合わせたりして楽しめるようにします。 大人になって開脚前転をする機会があるのは、体操選手やインストラクターか学校の先生くらいでしょうか。
人は、転がれそうな芝生の斜面を目の前にしたとき鉛筆のように横に転がって楽しむことはあっても、開脚前転を選択することは、子供であってもまずありません。走る、跳ぶ、踊るなどの技能に比べて器械運動系で身に付けた技能は、日常では発揮しにくいのです。
そう考えると、マットや跳び箱で身に付けた技能より、手軽に触れるチャンスがある鉄棒のほうが、「生涯スポーツ」的には役に立つ?