動物の中で人間だけが、楽しいから「走る」
人間は、走る動物です。多くの動物たちも走りますが、人間ほどには走ることに興味がなく、また、走ることを好んでいません。

動物の赤ちゃんが、じゃれつき合いの中で走る行動をよく目にしますが、必ず相手がいる「追いかけっこ」の遊びです。大人になればそれまでの「追いかけっこ」は「狩り」となるので、1頭あるいは1匹で一生懸命走っている動物を見ることは、映画の中くらいでしか見ることはありません。
多くの動物は、次の狩りのためにエネルギーを温存しておくべきだと知っているので、走ることは、無駄なエネルギー消費でしかないのでしょう。大人になっても、楽しいからとか健康のためにとかいって走っているのは、人間だけです。
動物の特長として、チンバンジーになくて人間にあるものは、アキレス腱や土踏まず、直立歩行するために発達した大殿筋(おしりの筋肉)などです。人間には体全体に比して大きくて重たい頭があるため、それを支えるための首の腱も非常に発達しています。このアンバランスな重たい頭をもちながら二本脚で安定して走るためには、体のバランスをとる腕の動きが重要な役割を担っているのです。
子供に「腕を大きく振りましょう」と言ったと同時に「ひじを90°くらいに曲げて」など、「大きく振る」のか「90°に曲げる」のか混乱させてしまうことはないでしょうか。体の前に腕をもっていくときには90°に曲がっていたひじも、意識しないと体の後方にもっていく時はひじが伸びてしまいます。
背中側でも90°を保っているかどうか、5・6年生の短距離走では、考えさせたい動きです。