運動会向けの「用意、ドン!」もある
陸上競技のスタートの合図は、「位置について」「用意」「ドン!」ですが、これはクラウチングスタートの方法をとる400M走以下の場合のみです。
800M走より長い距離では、「位置について」そのまま「ドン!」です。5・6年生でスタンディングスタートを指導しますが、どのような合図によるのかまでは学習指導要領には載っていません。
学習指導要領解説では3年生以上で「素早く走り始めること」が技能として求められているだけなので、一人一人が考えた「ドン!でダッシュできる」のであればどんな構えでもOKです。そのため「位置について」の合図を入れず、通常「用意」「ドン!」だけです。
運動遊びを学ぶ1・2年生についても同じことが言えます。しかし、運動会に関しては勝手が違ってきます。
きちんと「気を付け」をしているところを写真に撮れるようにする都合なのか「位置について」の号令を集団行動のように扱っているのが現状です。 「位置について」で立ちやすい位置は、そろった感じがするスタートラインです。
このあと片足を一歩下げる「用意」の姿勢をとることでラインを踏む心配も無いからですが、これでは後ろ荷重となってしまいます。「素早く走り始める」技能を身に付けていくためには、立ったときに一度両膝を曲げて沈み込むことで体重が前にかかる感覚を掴んだあとで一歩引くようにするか、ラインに並ばせるのを諦めて一歩手前に立たせるかです。
「用意」の姿勢を自分で考えることが学習なのですが、運動会向けに指導すると学習にならなくなります。