ビブスを着ることも楽しい学びとなる
「四番、サード長島。背番号3」 後楽園球場にアナウンスが流れると、ジャイアンツ・ファンの大歓声が球場全体に響きわたりました。アンチ・ジャイアンツの方、ご容赦ください。
水泳など一部を除くと、多くのスポーツでは番号をつけてプレーします。サッカーで司令塔と言われるゲームづくりをするプレーヤーは10、ポジションで番号が割り振られているラグビーのフルバックは、15が“定番”です。陸上競技では、ユニフォームに番号が印字されているわけでなく、番号のついた布地を縫い付けています。ナンバー・カードと呼ばれるもので、いわゆるゼッケンのことでした。
四角い布を前後に当て脇腹のところで紐を結わくゼッケンは、学校でもよく使われていました。胸のわきのところで結ばなければならなかったので、手先が器用だった当時の子供でさえ着用するのが少し大変でした。その後、頭からスポンと被るだけのビブスに取って代わられました。現代っ子は、シューズにも見られるように蝶結びは得意ではないので、ビブスはもってこいです。ちなみにビブスの語源は、「よだれかけ」を意味するbibの複数形だそうです。そういえば、大きなよだれかけのような形に見えますね。
ジュニアサイズも販売されているビブスですが、1・2年生にとっては、それでも大きい場合があります。運動中のよだれを受け止めるためではないですが、1年生のうちから「体育の時間にはビブスを着ること」を習慣付けておくと、「ビブス、着なさ~い。」と指導者がいちいち言わずに済むようになります。彼らは、ビブスを着ることさえも楽しいのです。
ビブスがひらひらしていると運動するときのじゃまになるばかりかケガにつながる恐れがあるため、ビブスの裾を必ずしまうよう指導します。これは、安全に気を付ける態度としての学習内容です。番号が半分くらいしか見えなくなってしまいますが、安全が優先です。それでも、器械運動など運動するときにビブスがひらひらして気になることもあるので、その場合は、ビブスを着ないで技に集中できるようにします。
なお、ビブスの番号にこだわる子供がいるのは、昔の子供が野球をやるときにチームの全員が「3」をつけていたのと同じで、「バスケならやっぱり4がいい」という競技スポーツへのあこがれがあるからです。ビブスを着るだけで喜んでいる子供もいますが、使い終わったらたたんで片付ける態度も身に付けていきます。